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仮想通貨(暗号資産)の所得区分

今回は、仮想通貨(暗号資産)の所得区分についてご説明したいと思います。

 

所得の種類

まずは、所得税の所得の種類についてご説明します。

所得税法では、その性格によって所得を以下の10種類に区分しています。

 

所得区分 内容
事業所得 農業、卸売業、サービス業等の所得
不動産所得 土地、建物の貸付等による所得(投資マンションの貸付等)
給与所得 勤務先から受ける給料、賞与などの所得
利子所得 預金の利子等
配当所得 株の配当や投資信託の分配金等
退職所得 勤務先から受ける退職金等
山林所得 山林の譲渡による所得
譲渡所得 土地、建物の譲渡による所得等
一時所得 生命保険や馬券の一時金等
雑所得 上記9つの所得以外の所得(公的年金等)

 

 

仮想通貨(暗号資産)の所得区分

平成30年4月1日に国税庁ホームページのタックスアンサーが発表され、仮想通貨(暗号資産)による所得は「雑所得」とされました。

国税庁ホームページのタックスアンサーはこちらです。→  ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

 

しかし、以下の場合には「事業所得」に区分されます。

・その仮想通貨取引自体が事業と認められる場合

・その仮想通貨取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合

国税庁ホームページ 仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ) より引用

 

例えば、仮想通貨(暗号資産)の取引の収入で生計を立てている人や、事業所得者が、事業用資産として仮想通貨(暗号資産)を保有し、車等の購入の決済手段として使用している場合等は、雑所得ではなく事業所得となります。

 

事業所得と雑所得の違い

「事業所得」と「雑所得」の違いについて以下にまとめます。

 

・「事業所得」は他の所得と損益通算できるが、「雑所得」はできない。

損益通算とは、赤字が生じた場合に他の所得から控除できるものです。

例えば、事業所得が100万円の赤字、不動産所得が200万円の黒字である場合、総所得は200万円(不動産所得)-100万円(事業所得)=100万円となります。

この損益通算は、事業所得では利用できますが、雑所得では利用できません。

 

・「事業所得」は純損失の繰越控除ができるが、「雑所得」はできない。

純損失の繰越控除とは、その年に損失が生じた場合、青色申告者であればこの損失を3年間繰越すことができる制度です。

この純損失の繰越控除は、事業所得では利用できますが、雑所得では利用できません。

 

・「事業所得」は、青色申告特別控除の適用ができるが、「雑所得」はできない。

青色申告者であれば、所得から65万円の控除を受けることができます(青色申告特別控除)。

青色申告特別控除も事業所得では利用できますが、雑所得では利用できません。

 

まとめ

事業所得と雑所得のどちらが有利かといえば、事業所得の方が有利です。

しかし、仮想通貨(暗号資産)の所得を事業所得に区分するには、仮想通貨(暗号資産)の所得で生計を立てている等の要件を満たしていないといけません。副業で取引している場合等は「雑所得」に区分されるでしょう。

また、「開業届」を提出したからといって事業所得に区分されるわけではありませんのでご注意下さい。

 

事業所得と雑所得の区分については判断が難しい部分がありますので、ご不明点等ございましたら当事務所にご相談ください。

 

税理士 礒部雄大

 

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仮想通貨(暗号資産)の確定申告までの流れ

今年も確定申告の時期となりました。

今回は、仮想通貨(暗号資産)の確定申告の流れについてご説明したいと思います。

確定申告の内容については

確定申告とは?申告義務は? をご参照下さい。

 

どのような時に確定申告が必要になるか

例えば、会社員の方ですと、以下のような場合には確定申告が必要となってきます。

 

・仮想通貨(暗号資産)の所得が20万円を超えるとき

・仮想通貨(暗号資産)の所得が20万円以下であっても、他の所得(ブログ等)とあわせて20万円を超えるとき

・仮想通貨(暗号資産)の損失が発生しているが、ブログ等の他の所得がある場合(相殺)

 

仮想通貨(暗号資産)の所得の発生時期などは、

所得の発生時期は?仮想通貨(暗号資産)の課税関係   をご参照下さい。

 

確定申告までの流れ

仮想通貨(暗号資産)の確定申告までの流れは、以下の通りとなります。

 

① 取引している仮想通貨交換業者から「年間取引報告書」の交付を受ける

平成30年分より、仮想通貨交換業者(コインチェック等)から「年間取引報告書」の交付を受けることが可能になりました。

まずは、この「年間取引報告書」の交付を受けます。おそらく1月末あたりに交付されるかと思います。

 

② 「仮想通貨の計算書」を作成する

国税庁が「仮想通貨の計算書」をホームページで公開しております。

交付を受けた年間取引報告書の内容等を「仮想通貨の計算書」に入力することで、申告に必要な所得金額等が自動計算されます

年間取引報告書の交付を受けたら仮想通貨の計算書を作成し、仮想通貨(暗号資産)の所得の計算を行います。

 

仮想通貨の計算書は、仮想通貨(暗号資産)の取得価額を総平均法で算出する場合に利用できます。

つまり、移動平均法では利用できないということです。移動平均法を採用した場合は、自分でエクセル等で集計する必要があります。

仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法については、

仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(総平均法)

仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(移動平均法)  をご参照下さい。

 

③ 確定申告書に転記する

「仮想通貨の計算書」の作成が終わりましたら、仮想通貨(暗号資産)の所得を確定申告書に転記します。

所得の区分ですが、国税庁のタックスアンサーより、原則、雑所得とされます。

よって雑所得の部分に転記することになります。

 

④ 財産債務調書を作成する

ある一定額以上の所得がある等の方は、「財産債務調書」という書類を作成する必要がこざいます。

詳しい内容については、別記事でご説明したいと思います。

 

⑤ 税務署に提出する

最後に、確定申告書を税務署に郵送又は電子申告(e-tax)等で提出します。

 

まとめ

平成30年分の確定申告から年間取引報告書の交付を受けることが可能となりましたので、仮想通貨(暗号資産)の確定申告が簡便化されました。

仮想通貨(暗号資産)の価格はまだ乱高下が激しいので、所得が発生した場合は金額が大きくなることが予想されます。

申告漏れのないように注意しましょう。不明点などは当事務所にご相談下さい。

 

税理士 礒部雄大

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確定申告とは?申告義務はどのような人?

今年も確定申告の時期となりました。

よって、今回は所得税等の確定申告の概要、どのような人が申告する必要があるかなどについてご説明したいと思います。

 

所得税の確定申告とは

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算する手続です。

出典元:国税庁ホームページ/確定申告より引用

 

 

確定申告の流れとしては、1年間の所得税を計算して確定申告書という書類を作成します。

その後、確定申告書を税務署に提出し、算出した所得税の納税をするという流れになります。

 

 

確定申告の対象者

 

① 給料所得がある方

主なもの

・給与の収入金額が2000万円を超える方

・本業の給与等の他に副業等の所得が20万円を超える方

・同族会社の役員等で、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

 

※会社員の方等は年末調整で所得税の精算が終わっていますので、給料以外の所得がなければ確定申告は不要です。

年末調整については、年末調整とは をご参照下さい。

 

 

② 公的年金等に係る雑所得のみの方

公的年金等に係る雑所得から所得控除を差し引くと残額がある方

 

※その年の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。

 

③ ①〜②以外の方

所得税の「算出税額」が、配当控除の額及び住宅借入金等控除額の合計額を超える方

 

税理士やフリーランス等の個人事業者の場合です。要は、所得税の納税が発生したら確定申告をしなければならないということです。

 

確定申告の対象者について詳しくは、国税庁ホームページをご参照下さい。

 

確定損失申告

確定申告の対象者は、確定申告は義務となります。

一方で、本年で損失が生じた場合には確定申告の義務はありませんが(任意)、この損失を翌年以降に繰り越して控除する場合の手続きとして「確定損失申告」というものがあります。

その年に損失が生じていたとしても、確定損失申告を行うことで、翌年以降に利益が生じた場合にその年の損失を利益から差し引くことができます。

 

確定損失申告を行うことで適用できる制度は、大きく二つ「純損失の繰越控除」、「雑損失の繰越控除」です。

還付を受けるための申告

源泉徴収された税額や予定納税された税額を納め過ぎていた場合、「還付を受けるための申告」を行うことにより税金が還付されます。

還付を受けるための申告も確定損失申告と同様に確定申告の義務はなく、任意の申告となります。

 

主に下記の控除を適用するときは、還付を受けるための申告をすることで所得税が還付されます。

・雑損控除

・医療費控除

・寄附金控除

・住宅借入金等特別控除(初年度)

 

還付を受けるための申告書の提出期限は特に定められていませんが、その年の翌年1月1日から5年間の間に提出する必要がございます

確定申告書についてはその年の翌年2月16日からしか受け付けていませんが、還付を受けるための申告書は翌年1月1日から提出できます

 

 

平成30年分の確定申告の留意点

 

平成30年分の確定申告から配偶者控除及び配偶者特別控除に改正があってますのでご注意ください。

配偶者控除及び配偶者特別控除の改正内容については、平成30年分の年末調整における留意点(配偶者控除の改正) をご参照下さい。

 

まとめ

平成30年分の確定申告の受付は、平成31年2月18日(月)~同年3月15日(金)です。期限に遅れないよう早めの準備を行いましょう。

 

税理士 礒部雄大

 

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仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(総平均法)

仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法には、「移動平均法」「総平均法」の2種類がございました。

今回は、総平均法についてご説明したいと思います。

移動平均法については、 仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(移動平均法)  をご参照下さい。

 

総平均法とは

総平均法とは、仮想通貨(暗号資産)の1年間の購入金額の平均金額を取得価額とする方法です。

 

以下に具体例を示したいと思います。

 

○具体例

1月 1リップル(XRP)50円で1,000リップル(XRP)    購入
3月 1リップル(XRP)100円で1,000リップル(XRP)  購入
5月 1リップル(XRP)150円で1,000リップル(XRP)  売却
7月 1リップル(XRP)300円で500リップル(XRP)     購入
9月 1リップル(XRP)500円で500リップル(XRP)     売却

 

上記例で、取得価額の計算方法についてみていこうと思います。

 

移動平均法は、売却の都度、取得価額を算出しますので5月、9月それぞれで取得価額を計算します。しかし、総平均法では、1年間トータルで計算します。

 

○ 売却価額

5月と9月にリップル(XRP)を売却していますので、

150円×1,000リップル(XRP) + 500円×500リップル(XRP) = 400,000円

となります。

 

○ 取得価額

1年間のリップル(XRP)の購入金額合計をリップル(XRP)の数量で割って計算します。

 

・購入金額合計

50円×1,000リップル(1月) + 100円×1,000リップル(3月) + 300円×500リップル(7月) = 300,000円 -①

 

・リップル(XRP)の数量

1,000(1月) + 1,000(3月) + 500(7月) = 2,500 -②

 

・取得価額

①÷②=120円(1リップル当たり取得価額)

120円×1,500リップル(売却数量) = 180,000円

 

〇 利益金額

400,000円(売却価額) – 180,000円(取得価額) = 220,000円

となります。

 

 

留意事項

・年末にならないと損益の計算ができない

移動平均法は、購入または売却の都度、取得価額を計算しなければいけませんでした。

対して、総平均法は1年間の購入金額の平均で計算するので、年末に取得価額を計算することになります。

よって、年末にならないと損益計算ができず、納税資金の予測が遅れてしまいます

 

・総平均法から移動平均法への変更は出来ない

移動平均法から総平均法への変更は可能ですが、総平均法から移動平均法への変更はできません。

 

・「仮想通貨の計算書」を利用できる

国税庁が平成30年11月に「仮想通貨関係FAQ」発表しまして、

納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することにより、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」をホームページで公開しました。

よって、仮想通貨の計算書は平成30年分の確定申告から使用可能となりました。この計算書を利用することで所得金額等が自動で計算されるため、総平均法は取得価額の計算が移動平均法に比べて簡単です

ちなみに、仮想通貨の計算書は移動平均法には対応しておりませんので、移動平均法で計算する場合はこの計算書は利用不可です。

 

 

まとめ

今回は、仮想通貨の取得価額の計算方法として「総平均法」についてご説明しました。

移動平均法、総平均法ともにメリット、デメリットございますので有利な方を選択されて下さい。

有利というのは、取得価額が高くなるという意味です。取得価額が高くなれば利益が少なくなり税金も安くなります。

不明点は、当事務所にご相談ください。

 

税理士 礒部雄大

 

 

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償却資産申告書とは?提出義務は?

今年も償却資産申告書の作成時期となりましたので、今回は償却資産申告書についてまとめたいと思います。

償却資産とは

償却資産とは、事業用資産のうち土地、家屋以外の資産のことをいいます。

そして、毎年1月1日現在に所有している償却資産に対して償却資産税が課せられます。これは固定資産税の一種です。

償却資産は土地や家屋のように不動産登記簿等での把握が困難なことから、「償却資産申告書」をその所在地の市町村長に申告する必要がございます。

 

対象設備

・対象設備

主なものは以下のとおりです。

構築物

機械装置

器具備品    等

 

・対象とならない設備

車両運搬具(自動車税、軽自動車税の課税対象となるもの)

ソフトウェア

繰延資産      等

 

留意点

・耐用年数1年未満のもの、10万円未満の償却資産は対象外

経費として計上している償却資産は償却資産申告書への記載は不要です。

 

・一括償却資産は対象外

一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について、減価償却を法定耐用年数ではなく、3年間にわたって取得価額の3分の1を必要経費に計上していくもののことをいいます。

この一括償却資産は償却資産申告書への記載は不要です。

 

・少額減価償却資産は対象

少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の資産について、事業供用年度に全額必要経費に計上することがてきるものをいいます。

この少額減価償却資産は償却資産申告書への記載が必要となります。

 

中小企業者等であれば、「少額減価償却資産」と「一括償却資産」の選択適用が可能です。

10万円から20万円の資産を取得した場合は、償却資産税だけを考えると「一括償却資産」を選択した方が有利となります。

しかし、経費に計上できるのは取得価額の3分の1ですので、「少額減価償却資産」を選択した時に比べて利益が大きくなり法人税等の負担も大きくなります

 

・所有する償却資産の課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません。

償却資産税には免税点があり、償却資産の課税標準額の合計が150万円未満であれば償却資産税は発生しません。しかし、150万円未満であっても償却資産申告書の提出は必要となります。

 

ちなみに、償却資産税は「課税標準額×税率」で計算されます。税率は市区町村ごとで異なりますが、標準的な税率は1.4%です。

 

提出期限

毎年1月31日が提出期限です。法定調書の提出期限と同じです。

法定調書については、法定調書とは?提出期限は? をご参照下さい。

 

まとめ

1月は年末調整、法定調書、償却資産申告書等で税理士事務所は非常に忙しい時期となります。

スケジュール管理、体調管理には注意しましょう。

税理士 礒部雄大

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仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(移動平均法)

仮想通貨(暗号資産)の所得は、「売却価額-取得価額」で計算します。

売却価額については分かりやすいですが、取得価額については「移動平均法」、「総平均法」の2種類の計算方法がございます。

よって、仮想通貨(暗号資産)の計算方法についてご説明したいと思います。今回は、「移動平均法」です。

 

移動平均法とは

移動平均法とは、仮想通貨(暗号資産)の購入や売却の都度、取得価額を計算する方法です。

 

以下に具体例を示したいと思います。

 

〇具体例

1月1日 1リップル(XRP)50円で1,000リップル(XRP)  購入
3月1日 1リップル(XRP)100円で1,000リップル(XRP)  購入
5月1日 1リップル(XRP)150円で1,000リップル(XRP)  売却
7月1日 1リップル(XRP)300円で500リップル(XRP)  購入
9月1日 1リップル(XRP)500円で500リップル(XRP)  売却

上記例で、取得価額の計算方法についてみていこうと思います。

 

① 5月1日

〇売却価額

150円×1,000リップル(XRP)= 150,000円

 

〇取得価額

5月の売却までにリップル(XRP)を1月と3月に2回リップル(XRP)を購入しています。取得価額は2つを合算して平均金額を算出して求めていきます。

 

・計算式

(50円×1,000リップル + 100円×1,000リップル) ÷ (1,000リップル + 1,000リップル) = 75円(1リップル当たりの金額)

75円×1,000リップル(売却数量) = 75,000円

 

よって、5月1日のリップル(XRP)の所得は、

150,000円 – 75,000円 = 75,000円 となります。

 

② 9月1日

〇売却価額

500円×500リップル(XRP)= 250,000円

 

〇取得価額

5月1日時点のリップルの数量は、1,000リップル(1,000+1,000-1,000)で、1リップル当たりの金額は75円です(5月1日売却時の取得価額の平均金額を使用する)。

7月に買い増ししていますので、5月同様に、5月の売却後の残りと7月分を合算して1リップル当たりの平均金額を算出します。

 

(75円×1,000リップル + 300円×500リップル) ÷ (1,000リップル + 500リップル) = 150円(1リップル当たりの金額)

150円×500リップル(売却数量) = 75,000円

 

よって、9月1日のリップル(XRP)の所得は、

250,000円 – 75,000円 = 175,000円 となります。

 

∴最終利益は、①75,000円 + ②175,000円 = 250,000円 となります。

 

留意事項

・仮想通貨(暗号資産)の利益や納税資金の予測が立てやすいが、手間がかかる

移動平均法は、仮想通貨(暗号資産)の購入、売却の都度取得価額を算出しますので、利益や納税資金の予測が立てやすいというメリットがある一方で、計算の手間がかかるというデメリットもございます。

 

・法定算出方法は、移動平均法

仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法は、移動平均法または総平均法で有利な方法を選択しますが、法定算出方法は移動平均法です。

 

・移動平均法から総平均法への変更はできる

今後の申告において「総平均法」を継続して適用すれば取得価額の計算方法を変更できる。

 

まとめ

最後に、仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(移動平均法)についてまとめます。

 

・仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法は、移動平均法、総平均法の2種類ある

・移動平均法は、仮想通貨(暗号資産)の購入や売却の都度、取得価額を計算する方法

・移動平均法は、利益や納税計画を立てやすい

・手間がかかるため、時間がない人には不向き

・法定算出方法は、移動平均法(継続適用を条件に総平均法への変更可)

 

税理士 礒部雄大

 

 

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所得の発生時期は?仮想通貨(暗号資産)の課税関係

今年も確定申告の時期となりました。今回は、仮想通貨(暗号資産)の課税関係についてご説明したい思います。

所得の発生時期

仮想通貨(暗号資産)の課税関係については、平成30年4月1日の国税庁ホームページのタックスアンサーに以下のように発表されました。

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

引用元: 国税庁ホームページ/ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

 

つまり、仮想通貨(暗号資産)を「使用」した際、利益が生じていればその時点が所得の発生時期となります。

 

では、「使用」とは具体的にどういう場合かといいますと、

平成30年11月に国税庁から仮想通貨関係FAQが発表されまして、そこに具体例が挙げられています。以下に示します。

 

① 仮想通貨(暗号資産)を売却した場合

まずは、仮想通貨(暗号資産)を売却した場合です。売却というのは、日本円に換金するということです。

そして、その仮想通貨(暗号資産)の売却価額と取得価額の差が利益となります。

 

・具体例

4月1日  35,000円で1,000リップル(XRP)を取得
7月1日 1,000リップル(XRP)すべてを70,000円で売却した場合

 

70,000円(売却価額) – 35,000円(取得価額) = 35,000円が利益となります。

 

② 仮想通貨(暗号資産)で商品を購入した場合

次は、仮想通貨(暗号資産)で商品を購入した場合です。ビックカメラ等で仮想通貨(暗号資産)決済で商品の購入をした場合のことです。今後、仮想通貨(暗号資産)決済を導入する店舗が増加していくことと思われますが、

保有する仮想通貨(暗号資産)で商品を購入した場合、保有する仮想通貨(暗号資産)を譲渡したことになりますので、仮想通貨を使用したことになります。

 

・具体例

4月1日 35,000円で1,000リップル(XRP)を取得
7月1日 35,000円の商品を500リップル(XRP)で購入した(購入時の価格=1リップル70円)場合

 

35,000 円(商品価額) – (35,000÷1,000リップル)×500リップル =17,500円が利益となります。

 

③ 仮想通貨(暗号資産)同士の交換を行った場合

最後に、仮想通貨(暗号資産)同士の交換を行った場合です。2018年時点で仮想通貨(暗号資産)は1,500種類以上あるといわれています。

仮想通貨(暗号資産)同士の交換とは、例えば、ビットコイン(BTC)でリップル(XRP)を購入するなどです。この場合も仮想通貨を使用したことになります。

 

・具体例

4月1日 400,000円で1ビットコイン(BTC)を取得

7月1日 0.5ビットコイン(BTC)で4,000リップル(XRP)を取得した(購入時の価格=1リップル100円)場合

 

4,000リップル×100円(リップルの購入価額) – 400,000円×0.5ビットコイン = 200,000円が利益となります。

 

まとめ

今回は、仮想通貨(暗号資産)の課税関係についてご説明しました。

仮想通貨(暗号資産)の利益金額が一定額を超えると確定申告が必要となる場合がございますので注意が必要です。

不明点は当事務所にご相談ください。

 

税理士 礒部雄大

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法定調書とは?提出期限は?

今年も法定調書の作成時期となりましたので、今回は法定調書のついてご説明したいと思います。

法定調書とは

法定調書とは、適正な課税をすることを目的に、所得税法、相続税法などの規定により税務署に提出が義務付けられている書類のことです。

法定調書には種類がございまして、平成30年8月現在、全部で60種類ございます。

法定調書の種類

今回は、一般的に会社が提出しなければならない法定調書についてご説明します。これらの法定調書は、それぞれ一定の金額の支払いがある場合に提出することになります。

給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)

給料、賞与等を支払った会社、個人事業主等は、給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)を提出する必要がございます。

・提出範囲(年末調整をしたもの)

法人の役員 その年の給与等の支払金額が150万円超
弁護士、公認会計士、税理士等 その年の給与等の支払金額が250万円超
その他の方 その年の給与等の支払金額が500万円超

詳しくは、国税庁ホームページの「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数をご確認ください。

 

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

弁護士、税理士、フリーランス等に報酬、料金等の支払いをした会社、個人事業主等は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出する必要がございます。

・提出範囲

外交員、集金人等 同一人に対するその年の支払金額の合計が50万円超
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 同一人に対するその年の支払金額の合計が50万円超
馬主が受ける競馬の賞金 その年の1回の支払賞金額が75万円超
プロ野球選手、弁護士、税理士、フリーランス等が受ける報酬、料金等 同一人に対するその年の支払金額の合計が5万円超

詳しくは、国税庁ホームページの「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数をご確認ください。

 

不動産の使用料等の支払調書

不動産(土地、建物等)の使用料等の支払いをした法人は、「不動産の使用料等の支払調書」を提出する必要がございます。

・提出範囲

「同一人に対するその年の支払金額の合計が15万円を超えるもの」

 

この支払調書は、法人が不動産の使用料の支払いをする場合に提出が必要となります。よって、基本的に個人事業主の方は関係ありません(不動産業者である個人のみ関係あります)。

 

詳しくは、国税庁ホームページの「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等をご確認ください。

 

※その他、「退職所得の源泉徴収票」、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」、「不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書」がございます。

提出期限

前記の6つの法定調書をまとめた一覧表を「法定調書合計表」といいます。この法定調書合計表をその年の翌年1月31日までに提出しなければなりません。

よって、平成30年分の法定調書の提出期限は平成31年1月31日です。

提出先は所轄税務署長です。電子申告(e-tax)による提出も可能です。

 

まとめ

法定調書は、適正・公平な課税を実現するために必要不可欠な書類です。

年末調整等もあり事務作業の負担が大きくなる時期ですが、提出期限に遅れないようにしましょう。

 

税理士 礒部雄大

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即時償却と税額控除のメリット、デメリット

中小企業者が中小企業経営強化税制を適用すれば、税制優遇措置として「即時償却」、または、「税額控除」の選択適用ができるようになります。

中小企業経営強化税制については、

中小企業経営強化税制(A類型)とは?手続きの流れとは? 、中小企業経営強化税制(B類型)と?A類型との違いは?

をご参照ください。

 

税務申告の際、即時償却、税額控除のどちらか有利判定する必要があります。よって、今回は即時償却と税額控除のメリット、デメリットについてご説明したいと思います。

 

即時償却とは

即時償却とは、設備取得金額の全額を設備を取得した事業年度に一括で経費に計上するものです。

通常、設備取得の金額は、設備ごとの耐用年数に応じ一定割合の金額を減価償却費として経費計上しますが、即時償却は設備取得の初年度に一括で減価償却費として経費計上します。

ex) 耐用年数5年である500万円の機械装置を取得した場合の減価償却費

・即時償却

1年目 500万円

2年目、3年目、4年目、5年目 0円

 

・通常の減価償却

1年目 100万円、2年目 100万円、3年目 100万円、4年目 100万円、5年目 100万円

 

税額控除とは

税額控除とは、税額を計算する際に税金から一定割合を直接控除することができるものです。減価償却については通常の減価償却を行います。

ex) 耐用年数5年である500万円の機械装置を取得した場合(10%の税額控除を適用)

減価償却費は、1-5年目まで毎年100万円計上。そして、プラスで1年目に500万円×10%=50万円の税額控除が受けられます。

 

 

メリット、デメリット

 

即時償却

〇メリット

・早期にキャッシュを回収できる

即時償却は1年目に全額を経費計上するため、その分利益が圧縮され法人税の負担も少なくなります。そのため早期にキャッシュを回収でき、回収したキャッシュを再投資に回したり、借入金の返済をしたりすることが可能です。

 

〇デメリット

・最終的な納税額は同じとなる

即時償却は1年目に全額経費計上しますが、減価償却費の合計額は通常の減価償却と同じです。よって、長期的には納税額は変わりません。

 

税額控除

〇メリット

・最終的な納税額が少なくなる

即時償却は長期的には納税額は変わりませんが、税額控除は初年度に税金から直接控除できるためトータルの納税額は少なくなります。

 

〇デメリット

・利益が出ていない場合は節税効果が少ない

税額控除は税金から直接控除するため、設備取得事業年度に利益が発生していない場合は控除する税額もないため節税効果が少なくなります。

 

 

まとめ

一般的には、税額控除の方が有利となります。しかし、取得する設備の金額や税額控除の率、資金繰りの状況等で変わってきますので、即時償却、税額控除の有利判定の際は細かくシミュレーションする必要がございます。

ご不明点は当事務所にご相談ください。

 

税理士 礒部雄大

 

 

 

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