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償却資産申告書とは?提出義務は?

今年も償却資産申告書の作成時期となりましたので、今回は償却資産申告書についてまとめたいと思います。

償却資産とは

償却資産とは、事業用資産のうち土地、家屋以外の資産のことをいいます。

そして、毎年1月1日現在に所有している償却資産に対して償却資産税が課せられます。これは固定資産税の一種です。

償却資産は土地や家屋のように不動産登記簿等での把握が困難なことから、「償却資産申告書」をその所在地の市町村長に申告する必要がございます。

 

対象設備

・対象設備

主なものは以下のとおりです。

構築物

機械装置

器具備品    等

 

・対象とならない設備

車両運搬具(自動車税、軽自動車税の課税対象となるもの)

ソフトウェア

繰延資産      等

 

留意点

・耐用年数1年未満のもの、10万円未満の償却資産は対象外

経費として計上している償却資産は償却資産申告書への記載は不要です。

 

・一括償却資産は対象外

一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について、減価償却を法定耐用年数ではなく、3年間にわたって取得価額の3分の1を必要経費に計上していくもののことをいいます。

この一括償却資産は償却資産申告書への記載は不要です。

 

・少額減価償却資産は対象

少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の資産について、事業供用年度に全額必要経費に計上することがてきるものをいいます。

この少額減価償却資産は償却資産申告書への記載が必要となります。

 

中小企業者等であれば、「少額減価償却資産」と「一括償却資産」の選択適用が可能です。

10万円から20万円の資産を取得した場合は、償却資産税だけを考えると「一括償却資産」を選択した方が有利となります。

しかし、経費に計上できるのは取得価額の3分の1ですので、「少額減価償却資産」を選択した時に比べて利益が大きくなり法人税等の負担も大きくなります

 

・所有する償却資産の課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません。

償却資産税には免税点があり、償却資産の課税標準額の合計が150万円未満であれば償却資産税は発生しません。しかし、150万円未満であっても償却資産申告書の提出は必要となります。

 

ちなみに、償却資産税は「課税標準額×税率」で計算されます。税率は市区町村ごとで異なりますが、標準的な税率は1.4%です。

 

提出期限

毎年1月31日が提出期限です。法定調書の提出期限と同じです。

法定調書については、法定調書とは?提出期限は? をご参照下さい。

 

まとめ

1月は年末調整、法定調書、償却資産申告書等で税理士事務所は非常に忙しい時期となります。

スケジュール管理、体調管理には注意しましょう。

税理士 礒部雄大

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法定調書とは?提出期限は?

今年も法定調書の作成時期となりましたので、今回は法定調書のついてご説明したいと思います。

法定調書とは

法定調書とは、適正な課税をすることを目的に、所得税法、相続税法などの規定により税務署に提出が義務付けられている書類のことです。

法定調書には種類がございまして、平成30年8月現在、全部で60種類ございます。

法定調書の種類

今回は、一般的に会社が提出しなければならない法定調書についてご説明します。これらの法定調書は、それぞれ一定の金額の支払いがある場合に提出することになります。

給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)

給料、賞与等を支払った会社、個人事業主等は、給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)を提出する必要がございます。

・提出範囲(年末調整をしたもの)

法人の役員 その年の給与等の支払金額が150万円超
弁護士、公認会計士、税理士等 その年の給与等の支払金額が250万円超
その他の方 その年の給与等の支払金額が500万円超

詳しくは、国税庁ホームページの「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数をご確認ください。

 

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

弁護士、税理士、フリーランス等に報酬、料金等の支払いをした会社、個人事業主等は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出する必要がございます。

・提出範囲

外交員、集金人等 同一人に対するその年の支払金額の合計が50万円超
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 同一人に対するその年の支払金額の合計が50万円超
馬主が受ける競馬の賞金 その年の1回の支払賞金額が75万円超
プロ野球選手、弁護士、税理士、フリーランス等が受ける報酬、料金等 同一人に対するその年の支払金額の合計が5万円超

詳しくは、国税庁ホームページの「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数をご確認ください。

 

不動産の使用料等の支払調書

不動産(土地、建物等)の使用料等の支払いをした法人は、「不動産の使用料等の支払調書」を提出する必要がございます。

・提出範囲

「同一人に対するその年の支払金額の合計が15万円を超えるもの」

 

この支払調書は、法人が不動産の使用料の支払いをする場合に提出が必要となります。よって、基本的に個人事業主の方は関係ありません(不動産業者である個人のみ関係あります)。

 

詳しくは、国税庁ホームページの「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等をご確認ください。

 

※その他、「退職所得の源泉徴収票」、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」、「不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書」がございます。

提出期限

前記の6つの法定調書をまとめた一覧表を「法定調書合計表」といいます。この法定調書合計表をその年の翌年1月31日までに提出しなければなりません。

よって、平成30年分の法定調書の提出期限は平成31年1月31日です。

提出先は所轄税務署長です。電子申告(e-tax)による提出も可能です。

 

まとめ

法定調書は、適正・公平な課税を実現するために必要不可欠な書類です。

年末調整等もあり事務作業の負担が大きくなる時期ですが、提出期限に遅れないようにしましょう。

 

税理士 礒部雄大

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