中小企業者が中小企業経営強化税制を適用すれば、税制優遇措置として「即時償却」、または、「税額控除」の選択適用ができるようになります。
中小企業経営強化税制については、
中小企業経営強化税制(A類型)とは?手続きの流れとは? 、中小企業経営強化税制(B類型)と?A類型との違いは?
をご参照ください。
税務申告の際、即時償却、税額控除のどちらか有利判定する必要があります。よって、今回は即時償却と税額控除のメリット、デメリットについてご説明したいと思います。
即時償却とは
即時償却とは、設備取得金額の全額を設備を取得した事業年度に一括で経費に計上するものです。
通常、設備取得の金額は、設備ごとの耐用年数に応じ一定割合の金額を減価償却費として経費計上しますが、即時償却は設備取得の初年度に一括で減価償却費として経費計上します。
ex) 耐用年数5年である500万円の機械装置を取得した場合の減価償却費
・即時償却
1年目 500万円
2年目、3年目、4年目、5年目 0円
・通常の減価償却
1年目 100万円、2年目 100万円、3年目 100万円、4年目 100万円、5年目 100万円
税額控除とは
税額控除とは、税額を計算する際に税金から一定割合を直接控除することができるものです。減価償却については通常の減価償却を行います。
ex) 耐用年数5年である500万円の機械装置を取得した場合(10%の税額控除を適用)
減価償却費は、1-5年目まで毎年100万円計上。そして、プラスで1年目に500万円×10%=50万円の税額控除が受けられます。
メリット、デメリット
即時償却
〇メリット
・早期にキャッシュを回収できる
即時償却は1年目に全額を経費計上するため、その分利益が圧縮され法人税の負担も少なくなります。そのため早期にキャッシュを回収でき、回収したキャッシュを再投資に回したり、借入金の返済をしたりすることが可能です。
〇デメリット
・最終的な納税額は同じとなる
即時償却は1年目に全額経費計上しますが、減価償却費の合計額は通常の減価償却と同じです。よって、長期的には納税額は変わりません。
税額控除
〇メリット
・最終的な納税額が少なくなる
即時償却は長期的には納税額は変わりませんが、税額控除は初年度に税金から直接控除できるためトータルの納税額は少なくなります。
〇デメリット
・利益が出ていない場合は節税効果が少ない
税額控除は税金から直接控除するため、設備取得事業年度に利益が発生していない場合は控除する税額もないため節税効果が少なくなります。
まとめ
一般的には、税額控除の方が有利となります。しかし、取得する設備の金額や税額控除の率、資金繰りの状況等で変わってきますので、即時償却、税額控除の有利判定の際は細かくシミュレーションする必要がございます。
ご不明点は当事務所にご相談ください。
税理士 礒部雄大