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年末調整還付金の還付方法

今年も年末調整の時期となっております。年末調整といえば、還付金を楽しみにされている方もいらっしゃるかと思います。

今回は、「年末調整還付金の還付方法」についてご説明したいと思います。

 

年末調整の還付金とは

年末調整の内容については、年末調整とは をご参照ください。

年末調整の還付金とは、年末調整の際にその年に納めるべき税額よりそれまでに給与等で徴収した税額が多かった場合のその差額の還付金のことです。

年末調整では、一般的に還付となる方が多いです(もちろん徴収となる方もいらっしゃいます)。

還付となる理由は、その人によって異なりますが、

「年の中途で控除対象扶養親族の数が増えた方」、「生命保険や地震保険の控除がある方」等は年末調整では還付となります。

 

還付方法

年末調整の還付金の還付方法は会社の自由ですので様々ですが、主な方法を以下にまとめます。

 

12月の最後の給与、賞与の中で還付する

12月の最後の給与、賞与の際に還付金を加算して支給する方法です。給与、賞与明細に年末調整還付金という項目があるかと思われます。

大企業など事業規模が大きい会社は、この方法が多いです。

 

〇メリット

・年内に還付金の支給ができる

・振込等の手間や手数料がかからない

 

〇デメリット

・スケジュールがタイトになる(年末調整資料を従業員から早期に回収する必要がある)

・所得は見積額で年末調整するので、再年調する必要がでてくる可能性がある

例えば、配偶者控除などは配偶者の所得に上限がございます。共働き夫婦では、1月にならないと配偶者の所得が確定しないケースも多くなっています。

よって、年末調整時の配偶者の所得の見積額では配偶者控除の上限内であっても、実際の所得が上限を超えてしまうと再年調しないといけなくなります。

 

 

1月の給与で還付する

翌年1月の給与で還付する方法です。

12月は年末調整など事務量が多くなる時期ですので、翌年1月に還付金を精算する企業もございます。

この方法は、小規模零細企業に多いです。

 

・メリット

振込等の手間や手数料がかからない

スケジュールに余裕ができる(年末調整の資料回収の期間に余裕ができる)

・デメリット

年内の還付支給が出来ない

 

 

還付金を別に渡す

給与や賞与の際に還付金を加算して支給する方法ではなく、還付金を別に現金で支給する方法です。

 

・メリット

給与、賞与の振込時期に間に合わなくても支給可能

・デメリット

振込等の手間や手数料がかかる

 

まとめ

最後に、年末調整還付金の還付方法についてまとめます。

・一般的に年末調整は還付の場合が多い

・年末調整還付金の還付方法は、3種類(12月の給与・賞与で還付、翌年1月の給与・賞与で還付、現金で別途支給)

・12月の給与・賞与で還付は、大企業が多い

・翌年1月の給与・賞与で還付、現金で別途支給は、小規模零細企業に多い

 

自社にあった還付方法を選択いただければ良いかと思います。

 

税理士 礒部雄大

 

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年末調整における住宅借入金等特別控除の流れ

「住宅借入金等特別控除」を受けようとする場合、住宅を取得した初年度は確定申告が必要です。しかし、給与所得者の方は、次年度以降は年末調整により控除を受けることが出来ます

よって今回は、年末調整で「住宅借入金等特別控除」を受ける場合の手続きについてご説明します。

 

住宅借入金等特別控除とは

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得等をした場合、一定の要件を満たせばその取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分(最大10年)の所得税額から控除するものです。

要は、ローンを組んでマイホームを購入した場合にローン残高の一定割合の金額分所得税が安くなるということです。

 

住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、様々な要件がございますので詳しくは、国税庁ホームページ:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)で要件等をご確認ください。

 

年末調整での手続きの流れ

冒頭でもご説明しましたが、住宅借入金等特別控除を受けるためには、居住した年の所得税についてはどんな人でも確定申告をしないといけません

しかし、給与所得者は次年度以降は一定の手続きにより年末調整により控除を受けることが可能です。

 

住宅借入金等特別控除申告書の提出

年末調整で住宅借入金等特別控除を受けるには、住宅借入金等特別控除申告書の提出が必要となります。

住宅借入金等特別控除申告書に、住宅の取得金額や借入金等に関する事項を記載します。記載が終わったら、申告書に金融機関から送られてくる住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書を添付して提出するという流れです。

住宅借入金等特別控除を受けるには、金融機関から送られてくる住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書の添付が必要となりますので大切に保存しておきましょう。

 

注意事項

・その住宅に入居後、本年12月31日まで引き続き居住していない場合、その年は住宅借入金等特別控除の適用はできません。

 

・住宅借入金等特別控除を受けようとする年の合計所得金額が3,000万円を超える方は、その年は適用対象外です。

合計所得金額の判定は毎年行いますので、3,000万円を超える年は住宅借入金等特別控除は受けられません。

 

・住宅借入金が連帯債務となっている場合は、12月31日の借入金の残高にその住宅の持分割合を乗じた金額を基に計算します。

ex) 借入金残高 3,000万円、住宅の持分割合が夫1/2、妻1/2の場合は、夫と妻の借入金残高は1,500万円ずつとなります。

 

・住宅ローンの繰上返済により、返済期間が10年未満となった場合、住宅借入金等特別控除は適用対象外となります。

住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は、償還期間が10年以上でないといけません。

よって、住宅ローンの繰上返済を行う場合は、繰上後のローン残高期間を10年以上になっているか確認しましょう。住宅借入金等特別控除は最大10年ですので、控除期間が終わった後に繰上返済するという選択肢もございます。

まとめ

住宅借入金等特別控除は、配偶者控除等の所得控除と違い税金から直接控除(税額控除)されますので税金の控除額が大きくなります。適用要件等を確認されて住宅借入金等特別控除をうまく活用しましょう。

 

税理士 礒部雄大

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生計を一にするとは?具体例をまとめました

前回まで年末調整に関係する所得控除についてご説明してきました。

その中で「配偶者控除」、「扶養控除」の適用対象者の要件に「納税者と生計を一にしていること」という言葉が出てきたかかと思います。

生計を一にするという言葉は、税法上の用語で少し分かりずらいかと思われます。 よって今回は、「生計を一にする」についてまとめてみます。

 

配偶者控除については、平成30年分の年末調整における留意点(配偶者控除の改正)

扶養控除については、扶養控除等申告書に記載する所得控除(扶養控除) をご参照ください。

 

 

「生計を一にする」とは

「生計を一にする」について、国税庁の基本通達に以下のように示さています。

日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、1生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、2日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

出典元 国税庁ホームページ:生計を一にする

 

基本的な考え方は、同じ財布で生活しているかどうかです。よって、別居している場合でも生活費等の送金をしていれば「生計を一にする」ことになります。

 

具体例

イメージしやすいように具体例をいくつか示します。

 

・夫婦と子供一人(小学生)の世帯で夫の収入で養っている

この場合、夫と妻、夫と子供どちらとも「生計を一にする」に該当します。

 

・両親と一緒に生活していて、子が両親を養っている

この場合、子と両親は「生計を一にする」に該当します。

 

・子供が県外の大学で一人暮らしをしており、親が生活費を仕送りしている

この場合、親と子は「生計を一にする」に該当します。

 

・夫が単身赴任で妻と子と離れて生活しており、夫が生活費を仕送りしている

この場合、夫と妻、夫と子供どちらとも「生計を一にする」に該当します。

 

・離れて暮らす両親に生活費を仕送りしている

この場合、親と子は「生計を一にする」に該当します。

 

 

まとめ

最後に、「生計を一にする」についてまとめます。

・「生計を一にする」とは、同じ財布で生活しているということ

・子供が県外の大学等で離れて暮らしていても、仕送りをしていれば「生計を一にする」に該当

・納税者が単身赴任で家族と別居していても、生活費に支給をしていれば「生計を一にする」に該当

・別居している両親に生活費の支給をしていれば「生計を一にする」に該当

 

「生計を一にする」については、配偶者控除、扶養控除の他にも医療費控除等の要件でもでてきますので、言葉の意味を理解しておくことが重要となってきます。

 

税理士 礒部雄大

 

 

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扶養控除等申告書に記載する所得控除(寡夫控除)

給与所得者の扶養控除等申告書に記載する所得控除としてご説明しております。

今回が、最後です。「寡夫控除」についてご説明します。

 

寡夫控除とは

概要

納税者本人が寡夫であるときは、「寡夫控除」として一定の金額の所得控除を受けることができます。

前回ご説明した「寡婦控除」は、夫が死亡、または、夫と離婚した場合に妻で所得控除が受けれるという内容でしたが、寡夫控除はその逆で夫が所得控除を受けれるという内容です。

寡婦控除については、扶養控除等申告書に記載する所得控除(寡婦控除) をご参照ください。

 

寡夫控除の対象者

寡夫控除の対象者は、以下の内容です。

 

寡夫とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。

  1. (1) 合計所得金額が500万円以下であること。
  2. (2) 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
  3. (3) 生計を一にする子がいること。
    この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

(注) 「妻」とは、民法上の婚姻関係をいいます。

出典元 国税庁ホームページ:寡夫控除

 

寡夫控除の対象者の範囲は、寡婦控除の「特別の寡婦」とほぼ同じです。寡婦控除に比べて少し要件が厳しくなります。

 

寡夫控除の金額

寡夫控除の金額は、以下の通りです。寡婦控除の「一般の寡婦」と同じ金額です。

区分 控除額
寡夫控除 27万円

 

扶養控除等申告書への記載の流れ

平成30年分の給与所得者の扶養控除等申告書については、こちらをご確認ください。

記載の流れについては、寡婦控除と同じです。扶養控除等申告書に記載する所得控除(寡婦控除)をご参照ください。

 

まとめ

最後に、寡夫控除についてまとめます。

・寡夫控除とは、妻と死別、または、離婚した場合、夫が受けられる所得控除のこと

・12月31日現在で判定

・納税者本人の所得が500万円(年収約689万円)以下でなければいけない

・生計を一にする子供がいないといけない

・対象者の範囲は、寡婦控除の「特別の寡婦」とほぼ同じ

・扶養控除等申告書への記載方法は、寡婦控除と同じ

 

税理士 礒部雄大

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扶養控除等申告書に記載する所得控除(寡婦控除)

引き続き、年末調整で給与所得者の扶養控除等申告書に記載する所得控除についてご説明します。

今回は、「寡婦控除」についてです。

 

寡婦控除とは

概要

納税者本人が寡婦に該当する場合、一定の金額を「寡婦控除」として所得控除を受けることができます。

 

寡婦控除の対象者

寡婦には、「一般の寡婦」「特別の寡婦」の2種類がございます。

 

・一般の寡婦

→ 納税者ご本人が、その年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人。

 

(1) 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。

(2) 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。

(注) 「夫」とは、民法上の婚姻関係をいいます。

出典元   国税庁ホームページ:寡婦控除

 

少し分かりずらいかと思いますので簡単にまとめます。

夫と離婚された方は、生計を一にするお子さん扶養しているご両親がいれば寡婦控除を受けれます。

夫と死別された方は、納税者ご本人の合計所得金額が500万円以下(年収でいうと約689万円以下)であれば寡婦控除を受けれます。

合計所得金額が500万円を超えてしまっても、生計を一にするお子さんや扶養しているご両親がいれば寡婦控除を受けれます。

 

・特別の寡婦

一般の寡婦に該当する方が次の要件の全てを満たすときは、特別の寡婦に該当します。

① 夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人

② 扶養親族である子がいる人

③ 合計所得金額が500万円以下であること

出典元  国税庁ホームページ:寡婦控除

 

少し分かりずらいかと思いますので簡単にまとめます。

夫と離婚された方は、合計所得金額が500万円以下で、かつ、生計を一にする子供を扶養していれば特別の寡婦に該当します。

一般の寡婦との違いは、ご両親を扶養していても寡婦控除の対象とはならないということと合計所得金額が500万円以下でなければならないということです。

 

夫と死別された方は、合計所得金額が500万円以下で、かつ、生計を一にする子供を扶養していれば特別の寡婦に該当します。

合計所得金額が500万円以下であれば一般の寡婦には該当しますが、さらに、お生計を一にする子供を扶養していれば特別の寡婦となります。

 

 

寡婦控除の金額

寡婦控除の金額は、以下の通りとなります。一般の寡婦と特別の寡婦で控除額が異なります。

区分 控除額
一般の寡婦 27万円
特別の寡婦 35万円

 

 

扶養控除等申告書への記載の流れ

平成30年分の給与所得者の扶養控除等申告書については、こちらをご参照ください。

寡婦控除扶養控除等申告書への記載の流れは、以下の通りとなります。

 

・納税者本人が寡婦に該当するか確認する

 

・寡婦(夫)に該当する場合、扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄の寡婦、特別の寡婦、寡夫該当する箇所にチェックをつける

 

・「下記の内容」欄に寡婦(夫)に該当する事実を記載

ex) 死別、離婚、生死不明の区分、生計を一にする子供の氏名と所得、本人の所得(特別の寡婦等)  等

 

まとめ

最後に、寡婦控除について以下にまとめます。

・寡婦には、一般の寡婦と特別の寡婦の2種類ある

・夫と離婚した場合、生計を一にする子供がいれば「寡婦控除」、さらに本人の合計所得が500万円(年収約689万円)以下であれば「特別の寡婦」

・夫と死別した場合、本人の合計所得金額が500万円以下であれば「寡婦控除」、500万円超でも生計一の子供または扶養しているご両親がいれば「寡婦控除」

本人の合計所得金額が500万円以下、かつ、生計を一にする子供を扶養していれば「特別の寡婦」

 

寡婦控除については少しわかりづらい部分でありますので、ご不明点は当事務所にご相談下さい。

 

税理士 礒部雄大

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扶養控除等申告書に記載する所得控除(障害者控除)

引き続き、年末調整で給与所得者の扶養控除等申告書に記載する所得控除についてご説明します。

今回は、「障害者控除」です。

扶養控除等申告書に記載する所得控除として

配偶者控除については、平成30年分の年末調整における留意点(配偶者控除の改正) を 扶養控除については、扶養控除等申告書に記載する所得控除(扶養控除) をご参照ください。

 

障害者控除とは

概要

障害者控除は、「納税者本人」、「同一生計配偶者」、「扶養親族」が障害者に当てはまる場合、一定金額の所得控除を受けることができます。

※ 同一生計配偶者とは、簡単に言うと、一緒に生活している配偶者で合計所得金額が38万円(給与年収103万円)以下の方のことをいいます。

 

障害者控除の対象者

障害者控除の対象となる障害者には、障害の重さで「障害者」「特別障害者」の2種類がございます。

イメージとしては以下の通りです。

・障害者

軽度、中度の障害者の方。身体障害者手帳に3級以下の記載があれば、基本的に障害者に該当します。

 

・特別障害者

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、重度の知的障害者の方。

身体障害者手帳に1級又は2級の記載のある方は、基本的に特別障害者に該当します。それ以外には、常に就床を要し複雑な介護を要する者等も特別障害者に該当します。

 

詳しくは、国税庁ホームページ:障害者控除 をご参照ください。

 

 

障害者控除の金額

障害者控除の金額は、以下の表のとおりです。

区分 控除額
障害者 27万
特別障害者 40万
同居特別障害者 75万

国税庁ホームページ:障害者控除 より引用

 

同居特別障害者とは、特別障害者の方で納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居している方です。

同居特別障害者になると、控除額も大きくなります。

 

留意点、ポイント

・16歳以下の扶養親族でも障害者控除の対象となる

16歳以下の扶養親族は扶養控除は対象外ですが、障害者控除は対象となります。

 

・身体障害者手帳の交付申請中でも一定要件を満たせば障害者控除の対象となる

身体障害者手帳等の交付申請中、医師の診断書があること等の要件を満たす必要があります。

 

・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族について、同居特別障害者に該当するか所得者本人に確認する

同居していれば、障害者控除の金額が大きくなります。

 

・障害者手帳がなくても市町村長の認定を受ければ障害者控除の対象となる

障害者手帳を持っていなくても、65歳以上で認知症など一定の状態にある場合、申請を行うと障害者控除認定を受けられる場合があります。

 

扶養控除等申告書への記載の流れ

平成30年分の給与所得者の扶養控除等申告書については、こちらをご確認ください。

障害者控除の扶養控除等申告書への記載の流れは、以下の通りとなります。

 

1.納税者本人、生計一の配偶者、扶養親族の中で障害者となる人はいないか確認

 

2.障害者控除の対象がいた場合、扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄の障害者の部分にチェックをつける

 

3.該当者(本人、同一生計配偶者、同居特別障害者)、区分(一般の障害者、特別障害者、同居特別障害者)で該当する部分に〇をつける(扶養親族については人数も)

 

4.「下記の内容」欄に状況を記載(身体障害者手帳の3級の交付を受けている 等)

 

まとめ

最後に、障害者控除についてまとめます。

・障害者控除は、納税者、同一生計配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合受けられる

・障害の程度で、障害者、特別障害者に区分される(障害者控除額も異なる)

・16以下の扶養親族も障害者控除の対象となる(扶養控除は対象外)

・障害者手帳を持っていなくても、市町村の認定を受ければ障害者控除の対象となる

 

税理士 礒部雄大

 

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扶養控除等申告書に記載する所得控除(扶養控除)

今回より、年末調整で給与所得者の扶養控除等申告書に記載する所得控除についてご説明したいと思います。

給与所得者の扶養控除等申告書に記載する所得控除は、「配偶者控除」、「扶養控除」、「障害者控除」、「寡婦(夫)控除」、「勤労学生控除」でした。

 

配偶者控除については、平成30年分の年末調整における留意点(配偶者控除の改正) をご参照ください。

 

今回は、「扶養控除」についてご説明します

 

年末調整の全体像については、年末調整とは をご参照ください。

扶養控除とは

概要

納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。

 

扶養親族の範囲

扶養控除の対象となる扶養親族とは、その年の12月31日の現況で下記の要件の全てを満たす必要がございます。

 

・配偶者以外の親族であること(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)、または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること

ex)  扶養している子供、両親

 

・納税者と生計を一にしていること

生計を一にしているということは、同じ財布で生活しているということです。

よって、子供を県外の大学等に通わせている方であっても生活費の仕送り等をしている場合は、生計を一にしているということになります。

 

・年間の合計所得金額が38万円以下であること

給与のみの場合は、給与収入が103万円以下であることが要件です。

 

・青色事業専従者として給料の支給を受けていないこと、または、白色事業専従者でないこと

個人事業主の方のご両親、息子等で青色事業専従者として給料の支給を受けている場合は対象外

 

・年齢が16歳以上であること

その年の12月31日の現況で判断します。

 

扶養控除の金額

控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により下記表のようになります。

 

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万
特定扶養親族 63万
老人扶養親族 同居老親等以外の者 48万
同居老親等 58万

国税庁ホームページ:扶養控除 より引用

 

・控除対象扶養親族

→ 扶養親族のうち、12月31日現在で16歳以上の人

 

・特定扶養親族

→ 控除対象扶養親族のうち、12月31日現在で19歳以上23歳未満の人

 

・老人扶養親族

→ 控除対象扶養親族のうち、12月31日現在で70歳以上の人。納税者と同居しているか否かで控除額に差があります。

 

扶養控除等申告への記載の流れ

平成30年分の給与所得者の扶養控除等申告書については、こちらをご確認ください。

 

扶養控除等申告書へ記載する流れは以下の通りです。

 

1.扶養控除の対象となる控除対象扶養親族はいるか確認する

2.控除対象扶養親族がいれば、扶養控除等申告書の控除対象扶養親族(16歳以上)の欄に、親族の名前、生年月日、マイナンバー等を記載する

3.同居老親、老親扶養、特定扶養に該当する場合は、チェック欄にチェックする

4.16歳未満の扶養親族がいる場合は、一番下の住民税に関する事項に記載が必要(個人住民税が安くなる場合がございます。)

 

 

まとめ

最後に注意点として、扶養親族が年の中途で死亡した場合でも扶養控除としての要件を満たしていれば、その死亡した年も扶養控除を受けることが出来ます。

忘れずに扶養控除等申告書への記載をし、扶養控除を活用してください。

 

税理士 礒部雄大

 

 

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保険料控除申告書に記載する所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

給与所得者の保険料控除申告書に記載する所得控除について引き続きご説明します。

今回が最後となります。「小規模企業共済等掛金控除」です。

 

小規模企業共済等掛金控除とは

 

概要

小規模企業共済等掛金の支払いをした場合は、支払金額の全額を小規模企業共済等掛金控除として控除できます

支払金額の全額が控除されますので、前回ご説明した社会保険料控除と同じです。社会保険料控除については、 保険料控除申告書に記載する所得控除(社会保険料控除) をご参照ください。

小規模企業共済等掛金については色々な種類がございますが、「小規模企業共済」、「確定拠出年金(イデコ)」の掛金が多く出てきます。

 

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。国の機関である中小企業基盤整備機構が運営しています。

掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。将来に備えつつ、契約者の方がさまざまなメリットを受けられるお得な制度です。

掛金は、月額1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できます。また、掛金の支払い方法も月払い、半年払い、年払いを選択できますので、年末に小規模企業共済の年払いを選択して1年分の掛金を支払うなどの節税対策としても利用できます。

 

確定拠出年金(イデコ)とは

確定拠出年金(イデコ)とは、公的年金にプラスして給付をうけられる私的年金制度の一つです。

自分で決めた掛金を積み立てて、自分で運用し、その掛金と運用益を60歳以降に年金として受け取れます

掛金には限度額が定められており、自営業者は月額68,000円、会社員は月額23,000円、公務員は月額12,000円、専業主婦は月額23,000円となっております。

支払方法は、月払い、半年払い、年払いを選択できますので、小規模企業共済同様、年末に1年分の掛金を支払うことで節税することが可能です。

 

 

保険料控除申告書への記載の際の注意事項

保険料控除申告書の様式はこちらをご参照ください。

 

・保険料控除申告書にその掛金を支払ったことの証明書類の添付が必要

※小規模企業共済の場合は「小規模企業共済掛金払込証明書」、確定拠出年金の場合は「小規模企業共済掛金払込証明書 確定拠出年金(個人型年金)」です。

 

・本人が本年中に支払ったものでないといけない

 

・前納減額金の受取があれば、その金額は支払金額から差し引かなければならない(小規模企業共済等の支払いを一年分の前払いをすると、割引が受けられて前納減額金が受け取れます)

 

・保険料控除申告書への記載は、小規模企業共済は、「独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金」欄に、確定拠出年金は、「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」欄に金額を記載する

 

まとめ

最後に、小規模企業共済等掛金控除についてまとめます。

・掛金が全額所得控除となる

・小規模企業共済、確定拠出年金(イデコ)の掛金の支払は、小規模企業共済等掛金控除の対象

・年末調整で控除する場合、保険料控除申告書に証明書の添付が必要

・金額は、本人が本年中に支払ったものに限り、前納減額金は差引いて計算する

 

上記点を注意して申告していただければと思います。不明点は当事務所にご連絡ください。

 

税理士 礒部雄大

 

 

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保険料控除申告書に記載する所得控除(社会保険料控除)

今回も引き続き年末調整の保険料控除申告書で計算する所得控除についてご説明します。

今回は、「社会保険料控除」です。

年末調整の全体像は、年末調整とは  を、保険料控除申告書に記載するその他の所得控除については、生命保険料控除地震保険料控除 をご参照ください。

 

社会保険料控除とは

社会保険料控除とは、社会保険料の支払いをした場合、その支払額を所得控除として控除できるものです。社会保険料控除は、社会保険料の支払額の全額が控除されます。

社会保険料の主なものは、会社員等が毎月給与から差し引かれる健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料や個人事業主等が支払う国民健康保険、国民年金等がございます。

 

保険料控除申告書に記載の際の注意事項

年末調整で社会保険料控除を受ける場合には、保険料控除申告書に記載する必要があります。申告書記載の際の注意事項をまとめます。

 

・毎月の給与、賞与から差し引かれている健康保険料等は、保険料控除申告書には記載する必要はありません。

 

・国民健康保険、国民年金等の保険料を支払った場合、保険料控除申告書に記載が必要です。

Ex)  新社会人の方が、その年の1月から3月までの国民年金を自分で支払っていた場合

年の中途で会社を退職し、一定期間国民健康保険、国民年金を支払っていて再就職した場合 等

 

・納税者本人と生計を一にしている親族の社会保険料等を本人が支払っている場合でも本人の社会保険料控除となります。

Ex)  子供などの国民年金を支払っている場合 等

 

・国民年金の支払いがある場合は、国民年金の控除証明書のハガキを社会保険料控除申告書に添付する必要があります。

 

まとめ

今回は、社会保険料控除についてまとめました。毎月の給与から差し引かれる社会保険料については企業が計算してくれるのですが、ご自身で支払われた国民健康保険、国民年金の保険料控除申告書への記載漏れがよくあります(特に親族の方の分)。保険料控除申告書への記載を忘れないようにしましょう。

 

税理士 礒部雄大

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地震保険料控除

前回は、年末調整で提出する「給与所得者の保険料控除申告書」で求める各種所得控除として「生命保険料控除」についてご説明しました。

詳しくは、生命保険料控除 をご参照ください。

 

引き続き、給与所得者の保険料控除申告書で求める所得控除としてご説明します。今回は、地震保険料控除」についてです。

地震保険料控除とは

地震保険料控除の対象となる地震保険料を支払った場合、所得税の所得控除として「地震保険料控除」を受けられます。

地震保険料控除を計算する際、保険料を大きく「地震保険料」「旧長期損害保険料」2つに分けて計算します。

 

※旧長期損害保険料とは、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等のことをいいます。

 

注意事項

・対象となる地震保険料は、納税者本人又は本人と生計を一にする親族が所有している自宅、家財についての保険料です。よって、投資用不動産の地震保険料等は地震保険料控除の  対象外です。

 

・地震保険料の支払いは、本人が本年中に支払ったものでなければなりません。

 

・地震保険料控除を受けるには、「地震保険料控除証明書」の添付が必要になります。
年末調整で地震保険料控除を受ける場合は、給与所得者の保険料控除申告書の該当箇所に記載し保険料控除証明書を添付してください。確定申告される場合は、確定申告書に地震保険料控除証明書を添付してください。

 

 

地震保険料の控除額の計算

 

地震保険料控除は、地震保険料と旧長期損害保険料の2つにわけて計算します。地震保険料控除額については、以下の通りとなります。

区分 年間支払保険料合計 控除額
地震保険料 50,000円以下 支払金額の全額
50,000円超 一律50,000円
旧長期損害保険料 10,000円以下 支払金額の全額
10,000円超 20,000円以下 支払金額×1/2+5,000円
20,000円超 15,000円
両方ある場合 それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円)

国税庁:地震保険料控除 を参考に作成

 

※ 一つの損害保険契約等で、地震保険料及び旧長期損害保険料の両方を支払っている場合には、納税者の選択により地震保険料又は旧長期損害保険料のいずれか一方の控除を受けることとなります。有利な方を選択するということです。

 

まとめ

地震保険料控除について、再度まとめます。

・地震保険料控除の対象となる保険料は、地震保険料と旧長期損害保険料の2種類あります。

・地震保険料は、納税者本人又は生計一の親族が所有している自宅又は家財に対する保険料です(投資用不動産に対する地震保険料は、地震保険料控除の対象とはなりません)。

・地震保険料は、本人が本年中に支払う必要があります。

・年末調整で地震保険料控除を受ける場合は、保険料控除申告書に必要事項を記載し地震保険料控除証明書を添付する必要があります。

 

上記の点を注意しながら地震保険料控除を受けていただければと思います。ご不明点は当事務所にご相談ください。

 

税理士 礒部雄大

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