仮想通貨(暗号資産)の所得は、「売却価額-取得価額」で計算します。
売却価額については分かりやすいですが、取得価額については「移動平均法」、「総平均法」の2種類の計算方法がございます。
よって、仮想通貨(暗号資産)の計算方法についてご説明したいと思います。今回は、「移動平均法」です。
移動平均法とは
移動平均法とは、仮想通貨(暗号資産)の購入や売却の都度、取得価額を計算する方法です。
以下に具体例を示したいと思います。
〇具体例
1月1日 | 1リップル(XRP)50円で1,000リップル(XRP) 購入 |
3月1日 | 1リップル(XRP)100円で1,000リップル(XRP) 購入 |
5月1日 | 1リップル(XRP)150円で1,000リップル(XRP) 売却 |
7月1日 | 1リップル(XRP)300円で500リップル(XRP) 購入 |
9月1日 | 1リップル(XRP)500円で500リップル(XRP) 売却 |
上記例で、取得価額の計算方法についてみていこうと思います。
① 5月1日
〇売却価額
150円×1,000リップル(XRP)= 150,000円
〇取得価額
5月の売却までにリップル(XRP)を1月と3月に2回リップル(XRP)を購入しています。取得価額は2つを合算して平均金額を算出して求めていきます。
・計算式
(50円×1,000リップル + 100円×1,000リップル) ÷ (1,000リップル + 1,000リップル) = 75円(1リップル当たりの金額)
75円×1,000リップル(売却数量) = 75,000円
よって、5月1日のリップル(XRP)の所得は、
150,000円 – 75,000円 = 75,000円 となります。
② 9月1日
〇売却価額
500円×500リップル(XRP)= 250,000円
〇取得価額
5月1日時点のリップルの数量は、1,000リップル(1,000+1,000-1,000)で、1リップル当たりの金額は75円です(5月1日売却時の取得価額の平均金額を使用する)。
7月に買い増ししていますので、5月同様に、5月の売却後の残りと7月分を合算して1リップル当たりの平均金額を算出します。
(75円×1,000リップル + 300円×500リップル) ÷ (1,000リップル + 500リップル) = 150円(1リップル当たりの金額)
150円×500リップル(売却数量) = 75,000円
よって、9月1日のリップル(XRP)の所得は、
250,000円 – 75,000円 = 175,000円 となります。
∴最終利益は、①75,000円 + ②175,000円 = 250,000円 となります。
留意事項
・仮想通貨(暗号資産)の利益や納税資金の予測が立てやすいが、手間がかかる
移動平均法は、仮想通貨(暗号資産)の購入、売却の都度取得価額を算出しますので、利益や納税資金の予測が立てやすいというメリットがある一方で、計算の手間がかかるというデメリットもございます。
・法定算出方法は、移動平均法
仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法は、移動平均法または総平均法で有利な方法を選択しますが、法定算出方法は移動平均法です。
・移動平均法から総平均法への変更はできる
今後の申告において「総平均法」を継続して適用すれば取得価額の計算方法を変更できる。
まとめ
最後に、仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法(移動平均法)についてまとめます。
・仮想通貨(暗号資産)の取得価額の計算方法は、移動平均法、総平均法の2種類ある
・移動平均法は、仮想通貨(暗号資産)の購入や売却の都度、取得価額を計算する方法
・移動平均法は、利益や納税計画を立てやすい
・手間がかかるため、時間がない人には不向き
・法定算出方法は、移動平均法(継続適用を条件に総平均法への変更可)
税理士 礒部雄大