先週金曜日に平成31年度の税制改正大綱が発表されました。
今回は、個人的に気になる部分をピックアップしてみました。
平成31年度税制改正大綱の全文は こちら からご確認ください。
個人所得課税
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住宅ローン控除の適用期限が延長される
個人が、消費税率10%時点で住宅を購入し、平成31年10月1日から平成 32年12月31日までに居住した場合、
現行の住宅ローン控除(1-10年)に加えて、11年目から13年目までの各年においても住宅ローン控除を受けることが可能となりました。
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ふるさと納税の対象の制限
総務大臣が、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税の対象として指定することになります。
① 返礼品の返礼割合が3割以下
② 返礼品を地場産品とする
つまり、上記要件を満たしていない場合は、ふるさと納税をしても税優遇を受けれなくなるということです。
上記改正は、平成31年6月1日以後支出した寄附金より適用されます。
資産課税
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個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設
認定相続人が、平成31年1月1日から40年12月31日までに特定事業用資産を引き継ぎ、事業を継続する場合、その特定事業用資産に対応する相続税の納税を猶予するという制度です。
事業承継税制の個人版のようなイメージです。
法人課税
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中小企業者等の法人税軽減税率の特例の期限延長
現行の法人税率は、23.4%(平成30年4月1日以後に開始する各事業年度は23.2%)ですが、中小企業者等は特例として所得金額が年800万円以下の金額は、15%で計算が可能となっております。
この特例の適用期限が2年延長されることになりました。
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中小企業経営強化税制の期限延長
中小企業経営強化税制とは、中小企業者等が経営力向上計画に基づき一定の設備を取得した場合、即時償却又は税額控除できる制度です。
この制度の適用期限が2年延長されることになりました。
その他
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仮想通貨の法人税における評価方法は「時価評価」
仮想通貨の法人税における取扱いが発表されました。大きく2点です。
① 法人が事業年度末に仮想通貨を有していた場合、活発な市場が存在する仮想通貨については、「時価評価」
② 仮想通貨の譲渡に係る原価の計算方法について、移動平均法または総平均法にするものとし、法定算出方法は「移動平均法」
上記改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用されます。
ただし、同日前に開始して、同日後に終了する事業年度について、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合は、上記①、②を適用しなくてもよいことになりました。
例えば、2月決算の法人の場合、
平成31年3月〜平成32年2月事業年度までは、会計上で時価評価していなければ法人税でも時価評価は不要となります。
また、①の「活発な市場が存在する仮想通貨」については、まだ具体的に示されていません。
ビットコイン、リップル等は活発な市場が存在する仮想通貨となるでしょうが、その他のアルトコインはどうなるのかまだわかりません。
まとめ
今回の改正では、実務に大きく影響する部分は少なかった印象です。しかし、注意すべき点は仮想通貨の取扱いについてでしょう。
今回、仮想通貨の法人での取扱について初めて発表されました。評価方法が時価評価となりましたので様々な問題が出てくるかと思います。
経過措置はございますが、法人で仮想通貨を保有されている方、または、法人で保有を検討されている方は事前対策が必要となりそうです。
税理士 礒部雄大