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仮想通貨(暗号資産)の所得区分

今回は、仮想通貨(暗号資産)の所得区分についてご説明したいと思います。

 

所得の種類

まずは、所得税の所得の種類についてご説明します。

所得税法では、その性格によって所得を以下の10種類に区分しています。

 

所得区分 内容
事業所得 農業、卸売業、サービス業等の所得
不動産所得 土地、建物の貸付等による所得(投資マンションの貸付等)
給与所得 勤務先から受ける給料、賞与などの所得
利子所得 預金の利子等
配当所得 株の配当や投資信託の分配金等
退職所得 勤務先から受ける退職金等
山林所得 山林の譲渡による所得
譲渡所得 土地、建物の譲渡による所得等
一時所得 生命保険や馬券の一時金等
雑所得 上記9つの所得以外の所得(公的年金等)

 

 

仮想通貨(暗号資産)の所得区分

平成30年4月1日に国税庁ホームページのタックスアンサーが発表され、仮想通貨(暗号資産)による所得は「雑所得」とされました。

国税庁ホームページのタックスアンサーはこちらです。→  ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

 

しかし、以下の場合には「事業所得」に区分されます。

・その仮想通貨取引自体が事業と認められる場合

・その仮想通貨取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合

国税庁ホームページ 仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ) より引用

 

例えば、仮想通貨(暗号資産)の取引の収入で生計を立てている人や、事業所得者が、事業用資産として仮想通貨(暗号資産)を保有し、車等の購入の決済手段として使用している場合等は、雑所得ではなく事業所得となります。

 

事業所得と雑所得の違い

「事業所得」と「雑所得」の違いについて以下にまとめます。

 

・「事業所得」は他の所得と損益通算できるが、「雑所得」はできない。

損益通算とは、赤字が生じた場合に他の所得から控除できるものです。

例えば、事業所得が100万円の赤字、不動産所得が200万円の黒字である場合、総所得は200万円(不動産所得)-100万円(事業所得)=100万円となります。

この損益通算は、事業所得では利用できますが、雑所得では利用できません。

 

・「事業所得」は純損失の繰越控除ができるが、「雑所得」はできない。

純損失の繰越控除とは、その年に損失が生じた場合、青色申告者であればこの損失を3年間繰越すことができる制度です。

この純損失の繰越控除は、事業所得では利用できますが、雑所得では利用できません。

 

・「事業所得」は、青色申告特別控除の適用ができるが、「雑所得」はできない。

青色申告者であれば、所得から65万円の控除を受けることができます(青色申告特別控除)。

青色申告特別控除も事業所得では利用できますが、雑所得では利用できません。

 

まとめ

事業所得と雑所得のどちらが有利かといえば、事業所得の方が有利です。

しかし、仮想通貨(暗号資産)の所得を事業所得に区分するには、仮想通貨(暗号資産)の所得で生計を立てている等の要件を満たしていないといけません。副業で取引している場合等は「雑所得」に区分されるでしょう。

また、「開業届」を提出したからといって事業所得に区分されるわけではありませんのでご注意下さい。

 

事業所得と雑所得の区分については判断が難しい部分がありますので、ご不明点等ございましたら当事務所にご相談ください。

 

税理士 礒部雄大

 

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