「住宅借入金等特別控除」を受けようとする場合、住宅を取得した初年度は確定申告が必要です。しかし、給与所得者の方は、次年度以降は年末調整により控除を受けることが出来ます。
よって今回は、年末調整で「住宅借入金等特別控除」を受ける場合の手続きについてご説明します。
住宅借入金等特別控除とは
住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得等をした場合、一定の要件を満たせばその取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分(最大10年)の所得税額から控除するものです。
要は、ローンを組んでマイホームを購入した場合にローン残高の一定割合の金額分所得税が安くなるということです。
住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、様々な要件がございますので詳しくは、国税庁ホームページ:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)で要件等をご確認ください。
年末調整での手続きの流れ
冒頭でもご説明しましたが、住宅借入金等特別控除を受けるためには、居住した年の所得税についてはどんな人でも確定申告をしないといけません。
しかし、給与所得者は次年度以降は一定の手続きにより年末調整により控除を受けることが可能です。
住宅借入金等特別控除申告書の提出
年末調整で住宅借入金等特別控除を受けるには、住宅借入金等特別控除申告書の提出が必要となります。
住宅借入金等特別控除申告書に、住宅の取得金額や借入金等に関する事項を記載します。記載が終わったら、申告書に金融機関から送られてくる住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書を添付して提出するという流れです。
住宅借入金等特別控除を受けるには、金融機関から送られてくる住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書の添付が必要となりますので大切に保存しておきましょう。
注意事項
・その住宅に入居後、本年12月31日まで引き続き居住していない場合、その年は住宅借入金等特別控除の適用はできません。
・住宅借入金等特別控除を受けようとする年の合計所得金額が3,000万円を超える方は、その年は適用対象外です。
合計所得金額の判定は毎年行いますので、3,000万円を超える年は住宅借入金等特別控除は受けられません。
・住宅借入金が連帯債務となっている場合は、12月31日の借入金の残高にその住宅の持分割合を乗じた金額を基に計算します。
ex) 借入金残高 3,000万円、住宅の持分割合が夫1/2、妻1/2の場合は、夫と妻の借入金残高は1,500万円ずつとなります。
・住宅ローンの繰上返済により、返済期間が10年未満となった場合、住宅借入金等特別控除は適用対象外となります。
住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は、償還期間が10年以上でないといけません。
よって、住宅ローンの繰上返済を行う場合は、繰上後のローン残高期間を10年以上になっているか確認しましょう。住宅借入金等特別控除は最大10年ですので、控除期間が終わった後に繰上返済するという選択肢もございます。
まとめ
住宅借入金等特別控除は、配偶者控除等の所得控除と違い税金から直接控除(税額控除)されますので税金の控除額が大きくなります。適用要件等を確認されて住宅借入金等特別控除をうまく活用しましょう。
税理士 礒部雄大