前回まで年末調整に関係する所得控除についてご説明してきました。
その中で「配偶者控除」、「扶養控除」の適用対象者の要件に「納税者と生計を一にしていること」という言葉が出てきたかかと思います。
生計を一にするという言葉は、税法上の用語で少し分かりずらいかと思われます。 よって今回は、「生計を一にする」についてまとめてみます。
配偶者控除については、平成30年分の年末調整における留意点(配偶者控除の改正)
扶養控除については、扶養控除等申告書に記載する所得控除(扶養控除) をご参照ください。
「生計を一にする」とは
「生計を一にする」について、国税庁の基本通達に以下のように示さています。
日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
基本的な考え方は、同じ財布で生活しているかどうかです。よって、別居している場合でも生活費等の送金をしていれば「生計を一にする」ことになります。
具体例
イメージしやすいように具体例をいくつか示します。
・夫婦と子供一人(小学生)の世帯で夫の収入で養っている
この場合、夫と妻、夫と子供どちらとも「生計を一にする」に該当します。
・両親と一緒に生活していて、子が両親を養っている
この場合、子と両親は「生計を一にする」に該当します。
・子供が県外の大学で一人暮らしをしており、親が生活費を仕送りしている
この場合、親と子は「生計を一にする」に該当します。
・夫が単身赴任で妻と子と離れて生活しており、夫が生活費を仕送りしている
この場合、夫と妻、夫と子供どちらとも「生計を一にする」に該当します。
・離れて暮らす両親に生活費を仕送りしている
この場合、親と子は「生計を一にする」に該当します。
まとめ
最後に、「生計を一にする」についてまとめます。
・「生計を一にする」とは、同じ財布で生活しているということ
・子供が県外の大学等で離れて暮らしていても、仕送りをしていれば「生計を一にする」に該当
・納税者が単身赴任で家族と別居していても、生活費に支給をしていれば「生計を一にする」に該当
・別居している両親に生活費の支給をしていれば「生計を一にする」に該当
「生計を一にする」については、配偶者控除、扶養控除の他にも医療費控除等の要件でもでてきますので、言葉の意味を理解しておくことが重要となってきます。
税理士 礒部雄大