昨日、国税庁より生命保険のパブリックコメントが発表されました。パブリックコメントの全文については以下をご参照ください。
今回は、国税庁が示した節税保険に対しての規制案の概要について簡単にまとめてみました。
規制案の概要
〇 概要
契約者が法人で役員等を被保険者とする生命保険で、最高解約返戻率が50%を超えるものに加入しその保険料を支払った場合は、全額損金とはならず、最高解約返戻率に応じて一部資産計上することとなる。
① 最高解約返戻率が50%超70%以下となる場合
・保険期間の開始から保険期間の100分の40に相当する期間(資産計上期間) → 支払保険料の100分の40の金額を資産計上し、残額は損金の額に算入
・資産計上期間経過後 → 支払った保険料を保険期間の経過に応じて損金の額に算入
・保険期間の100分の75に相当する期間経過後から保険期間終了まで → 資産に計上した金額は、均等に取り崩して損金の額に算入
② 最高解約返戻率が70%超85%以下となる場合
・保険期間の開始から保険期間の100分の40に相当する期間(資産計上期間) → 支払保険料の100分の60の金額を資産計上し、残額は損金の額に算入
・資産計上期間経過後 → 支払った保険料を保険期間の経過に応じて損金の額に算入
・保険期間の100分の75に相当する期間経過後から保険期間終了まで → 資産に計上した金額は均等に取り崩して損金の額に算入
③ 最高解約返戻率が85%超となる場合
・保険期間開始から最高解約返戻率となる期間の終了まで(資産計上期間) → 支払保険料の金額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間開始から10年を経過するまでは、100分の90)を乗じた金額は資産計上、残額は損金の額に算入
・資産計上期間経過後 → 支払った保険料を保険期間の経過に応じて損金の額に算入、資産に計上した金額は均等に取り崩して損金の額に算入
〇 適用時期
改正後の法人税基本通達の取扱いは、改正通達の発遣日以後の契約に係る定期保険等の保険料について適用される
まとめ
今回のパブリックコメントで節税保険に対して国税庁から規制案が示されました。
最高解約返戻率が50%超の生命保険が保険料の損金算入の規制の対象となります。また、最高解約返戻率が高くなれば資産計上額が大きくなり、損金算入金額が少なくなるというイメージです。
まだ確定ではありませんが、早ければ6月から適用となる見通しです。
既契約を過去にさかのぼっての遡及適用はないようですが、今後は節税目的ではなく保障メインで生命保険に加入することとなりそうです。
税理士 礒部雄大