平成29年税制改正により、新たに中小企業経営強化税制が創設されました。
この税制は、経営革新等支援機関のサポートを受けることで適用を受けることができます。よって今回は、中小企業経営強化税制についてご説明します。
なお、この制度にはA類型、B類型の2種類ございますが今回はA類型についてご説明します。
制度概要
制度概要は以下の通りです。
この制度は、青色申告書を提出する中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者等が平成29年4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間に、特定経営力向上設備等を取得し、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。
出典元:国税庁ホームページ/中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
つまり、経営力向上計画の認定を受けた事業者が設備を取得した場合、特別償却or税額控除の選択適用が可能となるということです。
中小企業者等とは
簡単にまとめますと、中小企業者等の要件は以下の通りです。
・資本金が1億円以下の法人
・従業員数が1,000人以下の個人
上記要件を満たしていれば中小企業者等に該当します。詳しくは国税庁ホームページ:中小企業経営強化税制をご確認ください。
対象設備
中小企業経営強化税制の対象設備は以下の表のとおりです。
設備の種類 | 金額 |
機械装置 | 160円以上 |
測定工具及び検査工具 | 30万円以上 |
建物附属設備 | 60万円以上 |
ソフトウェア | 70万円以上 |
制度適用までの流れ
中小企業経営強化税制の適用を受けるまでの流れは、以下の通りです。
① 工業会等による証明書を設備メーカーに発行依頼し、入手する
中小企業経営協会税制のA類型の適用を受けるには、生産性向上設備であるという証明書を工業会等から取得する必要がございます。
よって、まず中小企業者等は取得予定の設備メーカーから工業会等による証明書の発行を依頼し、入手します。
② 経営力向上計画申請書を主務大臣に申請し、認定を受ける
工業会等の確認を受けた設備を経営力向上計画に記載し、計画申請書に①の工業会の証明書を添付して、主務大臣に計画申請します。
その後、主務大臣より計画認定書の交付を受けます。
「経営力向上計画」とは、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画のことです。計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。
③ 税務申告を行う
税務申告をする際、①の工業会の証明書、②の計画申請書及び計画認定書(いずれも写し)の添付が必要です。
これらの書類は紛失しないよう大事に保管しておきましょう。
留意事項
設備の取得時期について留意事項がございます。これはA類型、B類型共通です。
経営力向上設備については、経営力向上計画の認定後に取得することが原則です。しかし、それができない場合でも例外がございます。
原則、例外の流れは以下の通りです。
【原則】
①工業会証明書申請、取得 → ②経営力向上計画申請(受理)、認定 → ③設備取得 → 事業年度末 → ④税務申告
※経営力向上計画申請(受理)から認定まで約30日
【例外】
①工業会証明書申請、取得 → ②設備取得 → ③経営力向上計画申請(受理)、認定 → 事業年度末 → ④税務申告
〇例外の留意事項
・設備取得から60日以内に経営力向上計画申請受理が必要
・経営力向上計画の認定は、設備取得し、事業供用した事業年度内に受ける必要がある(当該事業年度を超えて認定を受けた場合、中小企業経営強化税制の適用を受けることができない)
例えば、8月決算の事業者が7月に設備を取得して60日以内の9月に経営力向上計画が受理されていても、事業年度を超えて認定を受けているため中小企業経営強化税制の適用はできません。
事業年度末に設備取得を検討されている場合は、計画申請までのスケジュールを確認しておく必要があるでしょう。
まとめ
中小企業経営強化税制(A類型)については、B類型に比べて容易に適用することが可能です。
経営力向上計画の作成も経営革新等支援機関のサポートを受けることができます。
当事務所は経営革新等支援機関の認定を受けておりますので、中小企業経営強化税制の適用をご検討の方は気軽に当事務所にご相談ください。
税理士 礒部雄大